6月14日(土)に「副梢栽培体験&テイスティングツアー ~気候変動に挑むワインづくり~」を実施いたしました。
今回は、参加いただけなかった皆さまに向けて、ツアーレポートをお届けいたします。「副梢栽培」をテーマにしたツアーは、今回で2回目。
年に一度、この季節だけに行う作業を体験いただける特別なツアーということもあり、昨年に続き、会員様20名限定の募集枠はすぐに満席となりました。
当日は「曇りのち雨」の予報で天候が心配されましたが、畑での作業中はなんとか雨に降られることなく、無事にすべての行程を終えることができました。
ツアーは、甲府からの専用シャトルバスがワイナリーに到着した10:30からスタート。
参加者の皆様には、畑で副梢栽培の作業を体験しながら、ワインづくりの奥深さに触れるひとときを過ごしていただきました。
畑で副梢栽培作業

今回作業体験いただいたのは、D区画:シャルドネの畑。
登美の丘ワイナリーで栽培を担当し、2021年から副梢栽培に取り組んでいるつくり手:志賀 樹の案内で作業開始。
「副梢栽培」は、生育中の新梢をカットし、ぶどうの成熟時期を7月下旬から9月下旬にずらす事で豊かな酸と果実味を持ったぶどうを収穫する取組みです。
太陽に向かってグングンと伸びている新梢を途中でカットして、実になろうとしているぶどうの花穂(カスイ)をカットしていく作業です。
最初は躊躇している方が多かったようですが、慣れてくるとスパスパとハサミが入り、スッキリと整った枝葉に皆さまご満悦の様子でした。

写真の左手前が作業後の樹で、奥が作業をしていない樹。違いは歴然です。
こうしてカットした枝の脇芽から新たに発生した副梢につく房を利用することから「副梢栽培」と呼ばれています。
30分ほどの短い時間でしたが、高品質なぶどうを育てるための、畑での細かな手作業を実体験いただけた良い機会だったと思います。
ちょうど、作業を終える頃に雨が降り始め、畑での記念撮影をして、テイスティング会場に移動しました。
セミナー&テイスティング

セミナーでは、改めて、なぜ「副梢栽培」をするようになったか、と品質向上に対する取り組みや、ワインづくりに対する想いについてお話しました。そのあとに、テイスティングです。

テイスティングいただいたワインは下記の6種。
・【原酒】通常栽培 シャルドネ 2024
・【原酒】副梢栽培 シャルドネ 2024
・登美の丘 シャルドネ 秋風の成熟2022(副梢栽培ぶどう使用)|ワインのみらい
・登美 白 2022
・【原酒】通常栽培 メルロ 2023
・【原酒】副梢栽培 メルロ 2023
まず、同ヴィンテージの通常栽培のシャルドネと副梢栽培のシャルドネを比較テイスティング。副梢栽培のぶどうは涼しい時期に成熟するので、豊かな酸を保ちつつ、複雑なアロマを有するぶどうとなります。
通常栽培ぶどうからのワインとの比較でよりそれが鮮明に把握できて、皆さま一様に驚かれていた様子でした。
その後、製品化されている2種のワインをテイスティング。副梢栽培ぶどうのみを使用した昨年秋発売の新銘柄でまさにこのツアーの内容を体現した「登美の丘 シャルドネ 秋風の成熟」と、一部副梢栽培ぶどうをアッサンブラージュした、登美の丘ワイナリーのシャルドネの最高峰でもある「登美 白」です。
伸びやかな酸が魅力で上品でエレガントな前者と、芳醇で深みと充実感のある後者。どちらも甲乙つけ難い味わいですが、この後のお食事の時間にお話しをうかがうと、やはり「登美 白」の充実感は素晴らしい、という感想を多くいただきました。
そして、予定になかった赤のメルロの通常栽培/副梢栽培の比較テイスティングもサプライズで実施!
ここでも明らかな味わいの違いを味わっていただき、副梢栽培をする事の意義や狙いを感じていただきました。
ランチタイム

セミナー&テイスティングを終えて、13時前、少し遅いランチとなりました。
ランチには、山梨県産旬の野菜をふんだんに使用した和風、洋風のバラエティ豊かな家庭料理の、すべて手作り、添加物不使用、素材の味を活かすために味付けもシンプルにつくられた、甲府市内にあるカフェ「レ・ボンボン」のお弁当をご用意。テイスティングで残ったワインと一緒にお召し上がりいただきました。
案内役の志賀やスタッフとの会話を通じ、たくさんの感想やご意見、メッセージをいただきましたが、総じて参加した多くの皆さまに、我々の気候変動に対する取組みをご理解いただけて、今後も我々のワインづくりを応援したいというエールをいただけたと思っています。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
これからも、畑に根差したFROM FARMのワインを体感いただけるようなツアーを企画して参りますので楽しみお待ちください。
ツアーで提供したワイン

- 登美の丘 シャルドネ 秋風の成熟2022(副梢栽培ぶどう使用)|ワインのみらい
次の100年もこの土地で美味しいワインをつくり続けたい、という思いから生まれました。ぶどう畑が黄金色に染まる11月に収穫したぶどうでつくった、伸びやかな酸味が魅力のワインです。
- 登美 白 2022
恵まれた環境の自家ぶどう園で、徹底した収穫制限により育てられたシャルドネを使用。厳選ぶどうを完全に熟したタイミングで狙いを定めて収穫。
樽醗酵をした深みのある1本です。ワイナリー最高峰の味わいをご堪能ください。