近年、世界中から注目を集めている「日本ワイン」。
世界的に美味しいと評価される日本料理と同じように、日本らしい繊細な味わいが特徴で、海外のコンクールでも高い評価を得ています。
この記事では、日本ワインの基礎知識や料理とのペアリング、おすすめの日本ワインをご紹介します。
日本ワインとは
日本国内で醸造されるワインは「日本ワイン」と「国内製造ワイン」に分けられ、以下のように定義されています。
日本ワイン | 国産のぶどうのみを原料として、日本国内で造られたワイン(果実酒) |
国内製造ワイン | 海外から輸入した濃縮果汁や原料ワイン(輸入ワイン)を使い、国内で製造したワイン |
つまり、原料から製造にいたるまで、すべてが国産でないと「日本ワイン」と名乗ることができません。
実は、この定義が設けられたのは最近です。
それまでは明確なルールはなく、日本で造られたワインは「日本ワイン」や「国産ワイン」など様々な呼び方をされていました。
しかし、これでは消費者の混乱を招くとして、2018年10月30日からワインのラベル表示の基準が適用されたのです。
また、産地の表示についても、その地域のブドウを使い、その地域で醸造しなければ地域ワイン(塩尻ワインなど)を名乗れないなど、細かいルールが定められました。
これらのルールが設けられたことにより、より日本ワインのブランド価値が高まることにもつながりました。
今では、世界的なワインコンクールで輝かしい受賞歴をもつ日本ワインが多くあり、まさに世界中から注目されています。
例えば、「サントリーフロムファーム 登美の丘甲州 2021」は、毎年10,000本以上のワインが出品される国際ワイン品評会「デカンター・ワールド・ワイン・アワード(Decanter World Wine Awards)」で、最高位であるプラチナ賞を受賞しました。
(出典:SUNTORY FROM FARM サントリーフロムファーム | 受賞歴)
ワインの専門家によるブラインドテイスティングなど、数多の選考を経て決定される賞は、世界中のワイン愛好家から高い信頼を得ています。
日本ワインの主な産地
日本ワインは日本各地で造られており、気候や土壌、地形によってそれぞれに個性があります。
同じ日本国内で造られたワインでも、全く違う味わいを楽しむことができますよ。
そんな日本ワインの生産地として有名なのが「山梨県」「長野県」「北海道」「山形県」の4大産地。
ここでは、各生産地の特徴やサントリーのワイナリーについてご紹介させていただきます。
山梨県
日本を代表するワイナリーが集まる、日本ワインのメッカとも言える山梨県。
2019年には「ワイン県宣言」をし、さらなる発展を目指しています。
山梨県といえば日本ワイン発祥の地として知られ、とくに「甲州ワイン」が有名です。
約1000年もの歴史をもつ、日本固有品種である甲州ぶどうから造られるワインで、軽やかでスッキリとした味わいが特徴です。
山梨県における甲州ぶどうの栽培面積は、約400ヘクタール(東京ドーム85個分)で、山梨県内のワイン用ぶどうの品種別の栽培面積としては最大の広さを誇ります。
そのほかにも、マスカット・ベーリーAなどの日本固有品種を原料としたワイン造りに注力しているワイナリーも多く密集しています。
ぶどうの栽培には、降雨量が少なく乾燥した地域が適していると言われ、長い日照時間と水はけの良い土地をもつ山梨県はまさに理想的です。
山梨県にあるサントリーのワイナリー
100年余りの歴史をもつ「サントリー登美の丘ワイナリー」。
「登美の丘ならではの土地の個性を最大限に引き出したい」という造り手の努力と情熱で、品質の高いワインを生み出し続けています。
調和のとれたエレガントな味わいが特徴で、広大な富士山の姿と目の前に広がる甲府盆地のような、美しい景色がそのまま味わいに現れています。
サントリー登美の丘ワイナリーのおすすめワイン
[product_in_blog]tominooka-koshu-2020[product_in_blog]長野県
長野県は日本第二のワイン生産県と言われ、山梨県に次いで第2位の生産量を誇ります。
2013年には「信州ワインバレー構想」を策定。
県内のワイナリーが多く集まる地域を4つのエリアに分け、県を挙げてワイン産地づくりの取り組みを始めました。
そして2023年には、「信州ワインバレー構想2.0」へと進展することに。
NAGANO WINEが世界で評価されることを目指し、信州ならではの魅力を発信することに余念がありません。
今や実力派ワイナリーが続々と誕生しており、プレミアム産地としての地位を確立しました。
長野県といえば、メルロやシャルドネ、ソーヴィニヨンブランなどの国際品種が有名ですが、日本固有品種から造られるワインも高く評価されています。
例えば、昼夜の寒暖差が大きい塩尻市で育てられたマスカット・ベーリーAは、甘味と酸味のメリハリあるバランス感が、格の高い華やかな味わいを楽しませてくれます。
気候や土壌に恵まれ、広大な土地を持つ長野県には、70箇所以上のワイナリーがあり、まだまだ新しいワイナリーが増え続けています。
長野県にあるサントリーのワイナリー
「サントリー塩尻ワイナリー」で造られるワインは、きれいな果実味とピュアな味わいが特徴。
長野ならではのぶどうの持ち味を、余すことなく引き出すことに大きな力を注いでいます。
ぶどうの品質の高さも評価されていて、「良いワインづくりには良いぶどうづくり」というワイナリーの指針が色濃く反映されています。
サントリー塩尻ワイナリーのおすすめワイン
[product_in_blog]dsma20[product_in_blog]北海道
山梨・長野に続き、北海道のワイン生産量は第3位。
梅雨がなく湿度が低い北海道では、ぶどうが病気になりにくく、ぶどう栽培に適した産地といえます。
ピノ・ノワールやケルナー、ツヴァイゲルトなどの生産地としても有名で、ヨーロッパ系のぶどう品種の生産量は、北海道が日本一です。
また、ジュースや生食で食べられるナイアガラで造られるワインが多いのも、北海道ならでは。
ぶどうの栽培方法も珍しく、寒さが厳しい冬には、凍害を防ぐために雪にぶどうの樹を埋めるという対策をとっています。
これには世界のワイン専門家も驚くほどです。
そんな北海道ワインは、しっかりとした酸味と芳醇なアロマを楽しめるのが特徴。
ご当地グルメのジンギスカンや海の幸とも好相性です。
山形県
日本ワイン生産量、第4位の山形県。
古くから果樹栽培が盛んで、明治中期にワイン造りが始まりました。
他県と比べて栽培しているぶどう品種が多いのも山形県ならでは。
デラウェア、マスカット・ベーリーAを筆頭に、ナイアガラやシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンなど、バリエーションが豊富です。
日照時間が長く昼夜の気温差がある山形県は、土地の条件が良く、凝縮された味わいのぶどうを収穫することができます。
そんな山形ワインは、ぶどう本来の味や香りと爽やかな余韻が特徴。
伝統と実績を兼ね備えた、個性豊かなワイナリーが集まる山形県。
若手醸造家のワイナリーも多く、こだわりのワイン造りは国内外から注目を集めています。
山形県にあるサントリーの契約農家
サントリーは「かみのやま」という地域にあるぶどう農家さんと契約し、日々足並みを揃え、高品質なワイン造りに注力しています。
エレガントで凝縮感のあるぶどうを栽培していて、その味わいは、かみのやまワインにも継承されています。
サントリーとかみのやまが生み出す、心地よい香りと味わいのワインは、暮らしに上品な彩りを添えてくれます。
かみのやまのおすすめワイン
その他の産地
日本には4大産地以外にも、数多くの産地やワイナリーが存在します。
それぞれがワイン造りにこだわりを持ち、その土地ならではの味わいを生み出しています。
例えば、新潟県は「日本のワイン用ぶどうの父」である川上善兵衛の故郷で、日本ワインの発展に大きく貢献してきました。
また、新潟県の個性豊かなワイナリー5軒をまとめて「新潟ワインコースト」と呼び、そこで生産されるワインでは、海と砂に囲まれた土地ならではの軽やかながら香り高い味わいを実現しています。
また、青森県も近年注目されている産地のひとつです。
冷涼な地域らしいあまやかで可憐な果実味が特徴で、県産ワインが日本ワインコンクールで金賞を受賞をしたこともあります。
青森県のおすすめワイン
日本ワインの代表的なぶどう品種
日本の代表的な固有品種といえば、「甲州」と「マスカット・ベーリーA」。
どちらもO.I.V.(国際ブドウ・ワイン機構)に登録されている、世界に誇るワイン用ぶどうです。
その他の登録品種に「山幸」というぶどうもあります。
甲州
甲州は、日本で最も広く栽培されている醸造用の白ぶどうです。
一般的な白ぶどうとは違い、明るい紫色に熟すのが特徴で、太陽の光で透明にきらめく美しいぶどうです。
そんな甲州を原材料とした白ワインは、軽やかでスッキリとした味わいで酸味は穏やか、夏みかんや梨、日本酒、みりんなど、「和」を感じさせる香りが特徴です。
マスカット・ベーリーA
マスカット・ベーリーAは、日本で2番目に多く栽培されている黒ぶどうです。
原産地は新潟県ですが、寒さや湿気に強く日本の気候に適していることから、広い地域で栽培されています。
そんなマスカット・ベーリーAを原材料とした赤ワインは、いちごやキャンディのような甘い香りと、フルーティーな味わいが特徴です。
その他のぶどう品種
シャルドネやメルローなどヨーロッパ品種である「ヴィニフェラ種」は、雨が多い気候に弱いことから日本の環境に適さないとされてきましたが、近年では技術の向上により栽培が増えてきています。
また、サントリーでは、力強い果実味と酸味が特徴の「プティ・ヴェルド」というぶどう品種にも注力しています。
熟すまでにとても時間がかかり、収穫量が少ないため、古くからブレンド用として使われてきました。
そんな希少価値が高いプティ・ヴェルドのみを使った「プティ・ヴェルド100%のワイン」は、黒系果実や黒コショウの香り、きめが細かくも豊かなタンニンを感じることができます。
日本の固有品種だけでなく、国際品種を原料とした日本ワインを楽しむのもおすすめですよ。
日本ワインの歴史
日本ワインの始まりは明治時代まで遡ります。
山梨県の寺院でヤマブドウを原料としたワインが醸造され、徐々に日本ワイン造りが盛んになっていきます。
しかし、当時の日本では酸味のあるワインに馴染みがなく、一般的に飲まれるお酒までには至りませんでした。
そんな中「甘味ブドウ酒」が開発され、その売り上げは拡大していきます。
さらに時は進み、1907年にサントリーから「赤玉ポートワイン」が発売されます。
これにより、甘味ブドウ酒の市場はさらに広がりをみせました。
その頃は、日本ワインはまだ浸透しておらず、醸造や栽培技術などの研究が続きます。
その後、度重なるワインブームを経て、日本ワインは成長していきます。
そして、東京オリンピック(1964年)や大阪万博(1970年)などにより洋食文化が広がり、ついにワインの消費量は甘味ブドウ酒を上回ることに。
これらの歴史を経て、日本ワインの品質は大きく向上してきました。
今では多種多様なぶどうを安定して栽培できるようにもなり、醸造技術も飛躍的に進歩しています。
ワイン造りに情熱を注いだすべての人のたゆまぬ努力により、今では世界中から高く評価され、日本ならではの味わいを確立しています。
ソムリエがおすすめする日本ワインのペアリング
いつもの食卓に華を添えてくれる日本ワイン。
お肉料理にはもちろんのこと、繊細な和食とも相性がいいんです。
日本ワインの白は魚介類と相性抜群で、生でも火を通した料理でもよく合います。
また、実は日本ワインの赤も、輸入ワインの赤と比較すると魚介類との相性がよい傾向にあります。
繊細な味わいの日本ワインだからこそ、日本の食卓に並ぶ軽やかでヘルシーな料理とマッチしやすいのです。
ここでは、日本ワインと食とのペアリングをいくつかご紹介します。
おすすめの赤ワインとペアリング
相性のよい和食 | 相性のよい洋食 |
和牛のステーキ、朴葉味噌焼き、牛肉とゴボウの炊き合わせなど、肉と山の風味の掛け合わせ | 和牛のステーキ、パプリカの肉詰め煮込み、キノコソースのハンバーグなど |
おすすめの白ワインとペアリング
相性のよい和食 | 相性のよい洋食 |
寿司、天ぷら(ごま油以外で揚げたもの)、白身魚や貝の刺身(タイやカワハギ、ホタテや生牡蠣など)や焼物、蛤のお椀、鰆の西京焼き、豚肉の味噌漬け | ポトフ、大海老のフライとタルタルソース、チーマ・ディ・ラーパのオレッキエッテ |
おすすめのロゼワインとペアリング
サントリーフロムファーム ワインのみらい 登美の丘ワイナリー レイトサマーハーベストロゼ 2022
相性のよい和食 | 相性のよい洋食 |
車海老の鬼殻焼き、鱧の梅肉揚げ、蒸し鶏の梅肉和え | ラタトゥイユ、トマトファルシ、ウニのムース、ピンチョス&タパス各種 |
From Farm Online Shopおすすめの日本ワイン
From Farm Online Shopの人気ワイン10選
まずはこれを飲んでみよう!日本ワイン初心者におすすめのワイン
[product_in_blog]tominooka-koshu-2020[product_in_blog]飲み比べにおすすめの日本ワインセット
この記事の監修者
柳原 亮
2013年度:第9回 JSA全国ワインアドバイザー選手権大会準優勝
2019年度:第3回 JSAブラインドテイスティングコンテスト準優勝
2020年度:第8回 JSA全日本最優秀ソムリエコンクール クォーターファイナリスト
一般社団法人日本ソムリエ協会認定 ソムリエ・エクセレンス
WSET Lv.3 Award
一般社団法人日本ワイン協会認定 日本ワインマスター
NPO法人チーズプロフェッショナル協会認定 チーズプロフェッショナル